組織風土の変革と、社員のモチベーションアップが、企業の業績向上につながることが様々な企業研究から分かっています。
このことは私自身の経営コンサルティングの経験からも実証されています。
一方で、社員の「心」の面をきちんと管理しなければ、どんなに素晴らしい経営戦略を採用しても、その効果を得られないどころか、マイナスとなってしまうこともあります。
当方では組織風土と社員のモチベーションを変化させるため、それぞれの企業に合った企業改革のコンサルティングを提供しております。
組織風土が企業のパフォーマンスに与える影響
組織風土とは企業内に自然と形成される文化や雰囲気、価値観などを指します。
たとえば、上司と部下の間のコミュニケーションのスタイル、意思決定のプロセス、仕事への姿勢や倫理観など、日々の業務で社員が体験するものすべてが組織風土を構成しています。
これらは外部から見えにくいものの、組織のあらゆる面に影響を及ぼします。
研究(※1)によれば、良い組織風土が従業員のコミットメント(会社に対する愛着や責任感)を高め、生産性や目標達成の可能性を向上させることが分かっています。
実際に私がコンサルティングに入った企業でも、組織風土の変革によって、全体のパフォーマンスが高まっています。
また、風通しの良い環境では社員が自由にアイデアを出しやすくなり、イノベーションを促進します。これにより新しい製品やサービスが生まれ、企業の競争力が高まります。
さらに、柔軟な組織風土によって階層を超えた意見交換が活発化し、意思決定のスピードが向上することで、変化に迅速に対応できる体制が整います。それだけでなく離職率の低下にもつながります。
このように、組織風土の質は業績向上と成長に直結する重要な要素なのです。
社員のモチベーションが生産性を高める
企業の業績と成長のためには社員のモチベーションを高めることも重要です。
ここでいうモチベーションとは仕事に対して抱く意欲や情熱、行動を起こす際の内的なエネルギーのことです。
具体的には「目標を達成したい」という気持ちや、自ら進んで新しい課題に挑戦する姿勢、業務の効率を高めようとする工夫などです。
モチベーションが高い社員は意欲的に仕事へ取り組むため、集中して質の高い成果を出すことが可能になります。
また、新しいアイデアを積極的に提案し、業務改善や新規プロジェクトに貢献するなど、創造性も発揮します。
さらに、モチベーションが高い社員は周囲にも良い影響を与え、チーム全体の士気を高めます。結果として、チームの結束力が強化され、難しい課題にも協力して取り組む体制が整います。
加えて、モチベーションが高い社員は顧客対応にも前向きに取り組むため、顧客満足度が向上します。
社員のモチベーションと生産性に相関があることは研究(※2)からも分かっています。
組織風土と社員のモチベーションを管理しないことの危険性
ここまで説明した「組織風土」と「社員のモチベーション」は相互に作用し合うものです。
良い組織風土があれば社員のモチベーションは高まりますし、モチベーションの高い社員がいれば組織風土は良くなるのです。
逆にいえば、この2つを意識して経営していかないと、業績悪化や成長の鈍化につながるリスクがあります。
やる気のない社員や態度の悪い社員を放置しておくと組織風土が悪くなり、全体のパフォーマンスを落とすことになります。
例えば態度の悪い社員と接することで真面目な社員は創造性や集中力が低下し、仕事のパフォーマンスが落ちます。また失礼な態度が伝染し他の社員同士の助け合いも減ります。
これは無礼な態度に接することで、脳の認知リソースが奪われ、余裕がなくなることに原因があると研究(※3)で判明しています。
たった一人の言動の影響は想像以上に大きく、その伝染性も高いです。そのため、個人と組織の両方の側面から対策を講じる必要があります。
「心理的契約」を管理して企業のパフォーマンスを高める
「組織風土」と「社員のモチベーション」をどのように変化させれば良いのでしょうか?
給料や福利厚生を充実させるべきでしょうか?
確かにそのような対策も効果を発揮しますし、軽視してはいけない項目です。
しかし、それ以上に組織風土と社員のモチベーションに影響を与えるのが「心理的契約」です。
心理的契約とは組織とその従業員との間で明文化されてはいないものの、互いの期待や信念に基づいて暗黙的に成立している合意のことです。
例えば、会社が社員を公平に評価すること、やりがいのある仕事を与えること、キャリアップの機会を与えること、快適な職場環境を整えること、などは社員が期待する心理的契約といえます。
明文化された契約だけではカバーしきれない「期待と信頼」に基づくこの契約を適切に管理することが、組織風土と社員のモチベーションを変化させ、企業のパフォーマンスを向上させるのです。
心理的契約を適切に管理するためにはコミュニケーションの強化や組織の透明性の確保、組織設計の変更など様々な方法があります。
そしてどの方法が最適かは企業によって異なります。
当方ではそれぞれの企業に合った手法で組織風土と社員のモチベーションを向上させます。
<参考文献>
※1 Amin Nikpour. (2017). The Impact of Organizational Culture on Organizational Performance: The Mediating Role of Employee’s Organizational Commitment.
※2 Quratul-Ain Manzoor. (2012). Employee Motivation and Productivity: A Review of Literature and Implications for Management Practice.
※3 Porath, C. L., Foulk, T., & Erez, A. (2015). How incivility hijacks performance: It robs cognitive resources, increases dysfunctional behavior, and infects team dynamics and functioning.