政治の話がタブーなのはなぜ?揉める以外にも危険な理由がある

ビジネスの場では政治、宗教、プロ野球の話題は3大タブーといわれることが多いです。特に日本ではこの傾向が顕著かもしれません。

私もサラリーマン時代の研修で言われたような気がします。

これらの話題は異常なほどのこだわりを持つ人もいるため、トラブルの火種となりやすいことが理由とされています。

芸能人がテレビでこの手の発言をして干されたりもしています。

政治と宗教に関しては戦争にまで発展することがあります。

こういったことからもこれらの話題が危険なことは分かると思うのですが、政治については他にもリスクがあります。

それは何かというとバカだと思われることです。

「合う合わない」ではなく「知性があるかないか」と判断される

ニュースや討論番組で政治家や評論家が意見を述べているのを見聞きしたときのことを思い出してみてください。

あなたの政治的見解と異なる意見を述べる人に対してどう思うでしょうか?

「この政治家は自分とは違った経験や視点を持っているのか、そうであればそのような意見になるのも当然だな」と納得する人は少数だと思います。

おそらく「こんな簡単なことも理解できないなんてこの政治家はバカなんじゃないか」と思うのではないでしょうか。

このように私たちは政治的見解の異なる相手に対し、「自分と合う合わない」ではなく「バカだから自分のように賢く考えられない」と評価してしまうのです。

「右か左か」ではなく「上か下か」という基準を適用するのです。

つまり、顧客や取引先と政治の話をして意見が合わなかったとき、相手から「この人はバカだから仕事もできないのだろう、取引はやめておこう」と思われるリスクがあるということです。

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「頭が悪い」「事実を理解していない」と思われる

政治的見解が異なる相手に対して「バカだから自分のように正しい判断ができない」と考えてしまうことは研究からも分かっています。

ノースカロライナ大学のレイチェル・ハートマンらは、481人を対象にリベラル派保守派かというアンケートを行いました。

その後で、「自分と同じ政治的見解を持つ人」と「反対の政治的見解を持つ人」のそれぞれの特徴をどのように表現するのが適切か考えてもらいました。

このとき、その特徴を表すために複数の言葉の候補を提示し、その中から最適なものを選んでもらうという形式にしました。

その結果、政治的立場が反対の人間を評価するときは「頭が悪い」「事実を理解していない」といった知性のなさを意味する言葉こそ適していると考えがちということが分かったのです。

つまり、人間の脳には「自分と異なる政治的見解を持つ人間は馬鹿だ」と思ってしまう性質があるということです。

政治の話題を軽々しく出すその不用意さが問題

政治の話がタブーといわれていても、社内や客先との打ち合わせでおかまいなしに話してしまう人もいます。

禍根を残す可能性があると分かっていてする人もいます。

社長ブログで政治的主張を頻繁に投稿する人もいます。

意見の合わない人間とは商売する気がない!というのであればそれでも良いかもしれません。

しかし圧倒的に強い立場でもない限りはそのスタンスで仕事をしていくのは難しいといえます。

仮に意見が同じだったとしても、ビジネスの場で軽々しく政治の話をしてしまう不用意さに不安を持たれる可能性もありますので、気をつけましょう。

参考文献:Hartman, R., Hester, N., & Gray, K. (2023). People See Political Opponents as More Stupid Than Evil. Personality and Social Psychology Bulletin, 49(7), 1014-1027.