同じ広告でも街中に掲示された場合と、InstagramなどのSNSに表示された場合ではイメージが変わることがあります。
扱う商材にもよりますが、SNS広告のほうが消費者の購買に繋がりやすいかもしれません。
それはワンクリックでサイトに飛べるという購買ステップの簡易さだけが理由ではありません。
SNSを閲覧しているときの脳にかかる負荷が関係しています。
なぜ忙しい時は昼食が何でも良くなるのか?
繁忙期に社内であくせくと働いているところを想像してみてみてください。
自分だけではなく他の社員も忙しそうに動き回っています。問い合わせの電話も鳴り止まず昼食に行く時間さえ取れなそうです。
そんなとき誰かが「コンビニで全員のおにぎりを買ってきますね」と言ったら反対する人は少ないと思います。
仮に朝家を出たとき「今日の昼は蕎麦を食べよう」と思っていたとしても、それを主張することはないでしょう。
なぜなら忙しい仕事で脳をたくさん使っているため、関係のないことにリソースを費やすのが億劫になっているからです。
閑散期であればみんなで何を食べたいか話し合うでしょうが、忙しときはそういったことにリソースを割くモチベーションが上がらないのです。
「昼食なんて何でも良いや」という状態になっているのです。
これは自分が意識していなくとも脳の自然な反応といえます。
そしてこれと同じことがSNSの広告を閲覧するときも起こります。
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Instagramを30秒スクロールすると購買意欲が高まる
テネシー大学のマシュー・ピットマン博士らがSNSの広告についての実験を行っています。
参加者を3つのグループに分けて、それぞれ以下の手順に割り当てました。
- Instagramを30秒スクロールしてから広告を見る
- 9桁の数字を暗記してから広告を見る
- 何もせずに広告を見る
表示された広告はアイスクリームやコーヒー豆のものです。広告にはイイネの数も表示されていました。
それらの広告をどのように評価するか確認したところ、Instagramを見た参加者たちはイイネの多い広告を見たときに、より購買意欲が高まったのです。
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SNS広告は購買方法だけではなく判断方法まで変える
この実験で何が起こったかというと、Instagramを閲覧したことによる脳への負荷が、広告の判断をあやふやなものにしたということです。
「多くの人がイイネをつけているのだから、きっと良いものなのだろう」と流されやすい状態になったともいえます。
スマホが脳に悪影響を及ぼすことは多くの人に知られるようになりましたが、中でもSNSは思考やメンタルに特に大きなダメージを与えることが知られています。
認知の過剰負荷だけではなく、冷静な判断力を失うこともあります。
SNS広告は商品の購買方法だけではなく、消費者の判断方法まで変えてしまったのです。
自分が広告主となった場合にはありがたいことかもしれませんが、ちょっとズルい気もします…
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参考文献:Matthew Pittman & Eric Haley (2023) Cognitive Load and Social Media Advertising, Journal of Interactive Advertising, 23:1, 33-54.