メルカリでアマゾンよりも高く本が売れる理由と行動経済学

元来、モノを持たない主義なのですが、本だけは電子書籍ではなく紙で読みたい派なので何冊も溜まっていきます。

ちなみに電子書籍より紙の本の方が脳に入りやすいことは複数の実験で分かっているので、今後も変えることはないでしょう。

とはいえ一度読んだきり二度と読むつもりのない本をいつまでも置いておくわけにはいきません。

モノが多ければ多いで今度はそれが常に視界に入り、脳に余計な負担が掛かるからです。

なので処分しなければならないのですが、本をゴミに捨てるというのは非常に抵抗があります。

知識に対する冒涜とでもいいましょうか、罪悪感を覚えるのです。だからといってブックオフに売りに行くのも嫌です。その理由はいつか書きますが。

そんなわけでメルカリを使ってみたのですが、意外なことにそれなりの値段で売れました。

アマゾンよりもブックオオフよりも高く売れた

メルカリに本を出品したことのある人なら分かると思いますが非常に簡単です。

アプリを開いてバーコードを読み込めばタイトルや著者名を勝手に表示してくれます。そのまま表紙の画像を撮影して出品すればOKなので1分も掛かりません。

しかも、売れやすい価格帯まで提案してくれるのでそれに合わせて値段づけすれば良いのです。

ざっと100冊ほど出品したのですが、初日から5冊ほど売れました。

その後も1日に3冊前後は売れています。

もしや相場よりもかなり安い金額を設定してしまっているのではないかと思い、他の出品者のものを調べてみたのですが、平均的なものでした。

さらにアマゾンやブックオフのサイトを覗いて見たのですが、非常に驚きました。

私がメルカリで売った本の中にはアマゾンで1円で売っているものまであったのです。(1円で売っても送料を300円ほどに設定し、200円で送ればその差額が儲かるという仕組み)

ちなみに私のメルカリでの値段のつけ方はシステムが売れやすい価格帯として提示した範囲の中間くらいにするというものです。

1,000円~1,500円で売れていると提示されれば1,250円で出品するということです。

それくらいの値段で出品したものでもアマゾンで1円で販売中というものがありました。

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なぜ消費者はメルカリで高い本を買うのか?

アマゾンで買う方が数百円以上も安くなるのになぜメルカリで買うのでしょうか?

これこそ行動経済学なのです。

そして消費者のこのような感覚を知っておくことはあらゆるビジネスに役立てることができます。

人間が数百円差を気にしないケースは限られる

数百円から千円程度のものならわざわざ他のサイトを調べたりしないからだろう、と思うかもしれません。

確かに、そういう人間もいるでしょう。しかしそれはレアケースです。

しかも人間が数百円差を気にしなくなるのはもっと高い買い物のときです。

例えば同じ商品が300円と900円で売っていたら、後者を非常に高く感じます。

しかし、10,300円と10,900円であれば同じ600円差なのに高く感じないのです。

余談ですがこのような心理をうまく使っているのが家や車の販売です。

車を買う時にそれが単品で5万円で売っていたら絶対に買わないようなものでも、1,000万円の車を買う時にオプションでおすすめされると付けてしまうのです。誤差の範囲と感じてしまうからです。

話が逸れましたが、中古本では数百円差はかなり大きな差なので、他サイトのほうが安いのにメルカリで買うのは不思議な行動といえます。

不要なものを売って得た1,000ポイントと、働いて得た1,000円では重みが違う

なぜこのような不思議な行動をするのでしょうか?

それは消費者がメルカリで払うのはお金ではなくポイントだからです。

メルカリは購入も販売も同一アカウントで行うことができます。なので買うだけではなく、不用品を売っているという人間がかなり多いです。

そして販売によって得られた利益はいきなり銀行口座に振り込まれるのではなく、ポイント残高としてメルカリのアカウントに蓄積されます。

そしてそのポイントによって買い物をすることもできるのです。

これがミソです。仮にクレジトカードから引き落とされるとしたらアマゾンで安い本を買うでしょう。

しかし、不用品を売って得たポイントで買うのなら「多少高くてもまあ良いか」と考えます。それどころかお金を使っているという感覚さえ持たないかもしれません。

不要なものを売って得た1,000円分のポイントと、働いて得た現金1,000円では重みが違うからです。

メルカリ内に蓄積された1,000円よりもアマゾンでクレジット決済される300円のほうが高く感じるのです。

そのため、アマゾンなら送料込で半額以下で買える本をメルカリで買うのです。

メルカリ内で同じコンディションの中古本が安く販売されているのに自分の本が売れるのは新しく出品されたものから順に表示されるからでしょう。

「どうせポイントで買うのだから」という思考がもっと安く出品されているものを探すという行動さえ起こさせなくするのです。

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メルカリでは経営者の自伝がよく売れる

人間はシチュエーションによって金額の感じ方が異なるということは複数の研究からも分かっています。

自分自身の感覚でも思い当たることがあるのではないでしょうか?

クラブで100万円のシャンパンを空けても高く感じなくとも、同じものが酒屋で30万円で売っていたら高く感じるのはそういうことです。

このような人間心理をぜひビジネスにも利用してほしいと思います。

余談ですが、メルカリでは経営者の自伝などがよく売れます。

反対に洋書や心理学の本は売れにくいです。それとビジネスに関する本でも企業価値の算定手法のような専門的すぎるものは絶版本ならプレミア価格で売れますが、そうでないとあまり売れません。

それとアマゾンやブックオフで本を仕入れてメルカリで売ることを考えた人もいるかもしれませんが、個人でも業として行うなら古物商許可が必要なのできちんと手続きをしましょう。