中小企業の採用面接に立ち会うと、面接を担当する社員の態度が悪いことに驚かされることがあります。
しかも、それによって良い人材から内定を辞退されていることに気づいていません。
なぜこのようなことが起こってしまうのでしょうか?
超一流企業の面接官ほど態度が良い
3月1日から2025年卒業予定者の採用活動が解禁されました。
私が就職活動をした時から20年も経つのか…と感慨深いものがあります。
個人的なことではありますが、私は就職氷河期がほとんど終わりかけの2005年に大学を卒業しているので、就職活動も転職活動も意外と楽でした。
分を弁えずに応募した世界的なコンサルティングファームは全落ちでしたが…。
4年生時で残り40単位以上も残し、留年する可能性のほうが高かった自分でも、それなりの企業から複数の内定を貰えました。
もちろん内定までいかずに途中でお祈りメールを貰ったこともありますが、選考中に嫌な思いをしたことはなかったと思います。
超一流企業の面接でも、面接官はこちらと同じ立場で接してくれましたし、中にはまるでお客様扱いのようなところもありました。
3次面接あたりで不採用になってしまったときなどは、直接にフォローの電話やメールを貰ったりもしました。
ネットでは態度の悪い面接官の話などを見掛けることもありましましたが、そんなのは極一部の話だと思っていたのです。
しかし…
コンサルティング先の採用面接に立ち会うようになってからは驚かされることが増えました。
面接を担当する社員の態度が悪すぎるのです。自分が神にでもなったかのような偉そうな態度で求職者に接しています。
こういった話題になるとやり玉に挙げられるのはたいてい中年以降の社員ですが、この件に関しては年齢も性別も関係ありません。
若手も社長も、男性も女性も関係なく、偉そうな態度になってしまうのです。
なぜ中小企業の面接官は態度が悪いのか?
様々な企業の採用面接を経験した立場から言わせてもらうと、優良企業ほど面接官は謙虚であり、レベルが下がるにつれて面接官が尊大になっていく傾向があるように思います。
ここでいう優良とは規模が大きいということではありません。東証プライムに上場している企業でも誰でも入れるようなブラック企業はたくさんあります。
とはいえ、優良企業である割合はやはり大企業に多く、そうでない企業の割合は中小企業に多いのも事実です。
私の顧客は中小企業なので、残念ながら優良でない確率が高いです。
ですから、やはり面接を担当する社員が尊大なケースもあります。
このような事態になる原因というのも優良企業でないことにあるのではないでしょうか。
知名度もある優良企業に勤めていれば、周囲から評価される機会も多いです。なので面接にやってきた求職者が「御社が第一志望です」という態度を見せても特に何も思いません。
一方で称賛される機会の少ない企業の社員の場合、求職者がそのような態度を見せると、舞い上がって自分が上の立場になったような気分になってしまうのです。
そのため、偉そうな態度で接してしまうのです。
また優良企業の面接を受けた経験が少ないため、そういった企業ほど謙虚なことを知らないことも一因といえるでしょう。
さらに、世の中の情勢に疎すぎて、今が売手市場だということさえ知らない人間がいることもあります。
「お前はゴールドマン・サックスのエリート社員か!」
面接官の態度が悪いせいで、内定を辞退するという求職者も少なくありません。
良い人材が来てくれないという中小企業は採用に対する態度から見直さなければならないのです。
まず、求職者がどのような感覚で面接を受けに来ているかその心理を明確に理解する必要があります。
「どうしても御社に入社したいです」というパターンは滅多にないのです。
ほとんどが「自分が入社できるのはこのランクの会社だろうな…」という心持ちで応募しているのです。
それにも関わらず、偉そうな態度で面接をしたらどう思われるでしょうか?
「お前だってこの程度の会社にしか入れないレベルの人間なのに、一流企業の人事気取りか?」と思われるのがオチです。
そこまで思わないにしても、一流でない中小企業の面接官が、偉そうにしていたら違和感を持たれるのは事実です。
横で面接を聞いている私でさえ「お前はゴールドマン・サックスのエリート社員か!」と頭を引っ叩きそうになるのですから。
仮に「第一志望です」と言われてもそれが本心であると勘違いしてはいけません。
というよりも、その程度の社交辞令を見抜けないなら、認知的共感力が著しく低いということです。
他の仕事でも空気を読めずに顧客に悪い印象を与えている可能性が高いので注意したほうが良いでしょう。
応募してくれただけでもありがたいと思え
ではどのような態度で採用活動を行えば良いのでしょうか?
簡単なことです。お客様だと思って接すれば良いのです。
面接に来ているのがお客様だったとしたら、そういう態度になるか?そんな口の利き方をするか?ということを考えながら接するのです。
実際に将来の取引先になる可能性は十分あります。
それに地方の企業の場合、噂はすぐに広まります。「あそこの社員は偉そうな人が多い」と悪評が広まれば業績にも悪影響が出てしまいます。
応募してくれただけでもありがたいと思わなければなりません。
特に昨今の空前の売手市場において、求職者に偉そうな態度を取る会社というのは、情勢が見えていないということです。
優秀な人間であればそこに気づくので内定を出しても辞退されてしまうでしょう。
「良い人材が入社してくれない」と嘆く前に、良い人材が面接をしているのか見直してください。