このサイトの記事は全て私が書いています。読んでもらえれば分かりますが、あまり上手な文章ではありませんね。
そんな私が言うのもなんですが…
今の時代は人を惹きつける文章が書けないと、仕事でも困ってしまいます。
特にマーケティングや広報を担当している人が稚拙な文章を書いていたら会社のブランディングにも影響してしまいます。さらには売上にも関係してきます。
なので今回は、人を惹きつける文章とはどんなものかを解説したいと思います。
現代人はじっくり読まない
そもそもですね。なぜ人を惹きつける文章を書く必要があるのかという話をしておきたいのですが…
まず、今の時代は多くの人がスマートフォンを使って短時間で効率的に情報を取得しています。その影響で、じっくりと文章を読む時間や集中力が減少し、「いかに早くポイントが分かるか」が重要視されるようになっています。
つまり、最初の数行でつまらないと判断されたら、すぐに離脱されてしまい、会社や商品をアピールすることができないのです。
せっかくネット広告を出稿して自社サイトに誘導出来ても、じっくり見て貰えなければ、買ってもらえませんから、無駄金を使うことになってしまうのです。
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人を惹きつけない文章はコンピュータからも評価されない
さらに、この「すぐに離脱される」というのはテクニカルな面でもデメリットがあります。
たとえばGoogle検索から消費者が自社サイトに辿り着いたとします。このとき数行見ただけですぐに「戻る」ボタンを押して離脱すると何が起こるでしょうか?
その行動がGoogleにデータとして蓄積されます。そして「このサイトは多くの人がすぐに離脱するから価値のないサイト」とアルゴリズムが判断してしまいます。すると次回以降に検索されたとき、表示される順位がどんどん下がっていってしまうのです。
このような仕組みは検索エンジンだけではなく、YouTubeのような動画サイトでも採用されています。視聴者がすぐに見るのを止めてしまう動画はつまらないものとアルゴリズムが判断して、「おすすめ」に表示されなくなります。
つまり、今の時代は刺激的なタイトルで人を惹きつけることができたとしても、最後まで見てもらえなければ意味がないということです。
人を惹きつける文章に必要な要素とは
では人を惹きつける文章とはどのようなものなのでしょうか?
これにはペンシルベニア大学のジョナ・バーガー博士らの研究が参考になります。
この研究では自然言語処理(NLP)を用いて、どのような要素が人の注意を引き続けるのかを調べています。
1.簡単さと不安が注意を引き続ける
まず、ネット上にある35,000以上のコンテンツを読者がどれくらい読み続けるかを確認しています。特に、文章の「理解しやすさ」や「感情的言語」の使用が読者の注意を持続させるかどうかを分析しました。
その結果、文法が単純で分かりやすい文章ほど長く読まれることが分かりました。
感情に関しては不安を引き起こす表現が注意を引き続ける効果が高いことが確認されています。一方で悲しみを伴う表現は逆効果となり、読者が途中で読むのをやめる可能性が高くなりました。
2.「不確実性」と「興奮度」
次に実験参加者を募集し、その人たちに内容を操作した文章を読ませて、続きを読みたいかどうか確認しました。
すべての参加者が同じニュース記事の冒頭を読まされますが、使用される言葉を変更することで、3種類の感情(不安、怒り、悲しみ)を操作しています。
その結果、怒りや悲しみに比べ、不安を喚起される記事を読んだ参加者ほど、続きを読みたいと言う確率が高くなることが分かりました。
これは不安が不確実性と興奮を引き起こし、注意を引き続けることが要因と考えられます。悲しみや怒りはこの2つの条件を満たしませんから、続きを読みたい気持ちを起こし難かったのです。
3.希望も不確実性と興奮を引き起こす
最後の実験では、参加者を3グループに分け、それぞれに希望、興奮、満足のうちどれかを感じた過去の体験をについて詳細に記述してもらいました。
その後、すべての参加者に同じニュース記事(ワイヤレス充電に関する記事)を読ませ、続きが読みたいかどうかを聞きました。
その結果、希望や興奮についての体験を書いた参加者ほど、続きを読みたくなる確率が高いことが分かりました。
これも不確実性と興奮が関係していると考えられます。
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人を惹きつける具体的な文章
ここまでの説明で簡潔な文章、不安や希望により不確実性と興奮をもたらす文章が、人を惹きつけることが分かりました。
では具体的にどのような文章を書けば良いのでしょうか?
1.簡潔な文章
簡潔な文章とは、文法がシンプルであり、難解な単語を使わないものです。
次の2つの文章を比べてみてください。
- 「この製品は、新しい技術によって日常生活の利便性を向上させる画期的なソリューションです。」
- 「この製品は、新しい技術で毎日の生活をもっと便利にします。」
後者のほうが、言葉が短く、イメージしやすいと感じるのではないでしょうか?
このように、情報の伝え方を工夫するだけで読者に与える印象が大きく変わります。
2.不安や希望により不確実性と興奮をもたらす文章
不安や希望により不確実性と興奮をもたらす文章とは、「次に何が起こるのか知りたい」という心理や、「これが解決策になるかも」という期待感を刺激するものです。
例えば次のような文章がそれに該当します。
- 「あなたの生活の中に知らないうちに体調を崩す原因が潜んでいるかもしれません。でも、この3つの習慣を取り入れるだけで、健康な毎日を手に入れられる可能性があります。」
- 「今の仕事を続けることが、あなたのキャリアに悪影響を与えているかもしれません。しかし、新しいスキルを学べば、思い描いていた未来をつかめるかもしれません。」
- 「地球温暖化の影響が予想以上に進行しています。ただし、最新の技術を活用すれば、その被害を最小限に抑えられる可能性があります。」
これらの文章は不安を示す表現と希望を示す表現を組み合わせています。これにより、不確実性と興奮をもたらすことができますから、「続きを読みたい」と思ってもらいやすくなるのです。
不安や希望を活用した文章は、不確実性と興奮を生み出し、読者を引き込みやすくします。これらの感情をバランスよく取り入れることで、ただ注目を集めるだけでなく、読者に行動を促す力強い文章が生まれるのです。コンテンツ作成の際は、こうした心理的要素を意識してみてください。
☑︎ブログは「である調」より「です・ます調」で書いた方が良い理由
参考文献:Berger, J., Moe, W. W., & Schweidel, D. A. (2023). What Holds Attention? Linguistic Drivers of Engagement.