「意識高い系」とはその名の通り意識だけは高いけれど実力が伴っていない人間のことです。
それにも関わらず、自分には実力があると勘違いしているというかなりウザい特徴もあります。
意識高い系は「優秀だと思われたい」という承認欲求も強いです。そしてそれを実現するために専門用語や横文字を使いたがります。
予算を「バジェット」と言ったり、できるだけ早くを「ASAP(As Soon As Possible)」と言ったりするうざい社員が皆さんの会社にもいないでしょうか?
もしこのような意識高い系のうざい社員がいたら客先に出したり、新人の教育係に任命してはいけません。会社の業績を下げることになります。
「用語の説明」がついていても理解されない
オハイオ州立大学のヒラリー・シュルマンらは英語で「ジャーゴン(jargon)」と呼ばれる職業的な専門用語が与える影響について調べました。
この研究には650人の成人がオンラインで参加しています。
専門用語のある文章とない文章
参加者は自動運転技術、手術用ロボット、3Dバイオプリンティングという3つの科学技術の文章を読みました。
そのうち半数の人間は専門用語が使用されていない文章を読み、残りの半数の人間は専門用語のある文章を読みました。
例えば専門用語が使われた文章には「このシステムはモーションスケーリングとトリマーリダクションによるAI統合により機能します」といったものがあります。
専門用語のない文章には「このシステムはロボットの動きをより正確に、よりゆるやかにするプログラムによって機能します」といったものがあります。
専門用語を使用した文章を読んだ人の半数にはその意味を脚注で読めるような仕組みが準備されていました。具体的にはキーワードの上にカーソルを置くと説明用のボックスが表示されるというものです。
分かりにくい言葉はやる気を失わせる
全て読み終わった後に参加者は文章の読みやすさを評価しました。
当然ですが専門用語を使用された文章を読んだ参加者は読み難いと判断しました。これは意味を解説した脚注を読めるようになっている人も同様の評価でした。
また難しい言葉を読むと「自分は科学が得意ではない」「科学的な議論に参加する資格がない」と思ってしまうことも分かりました。
反対に分かりやすい文章で説明されたときには「理解できている」「科学が好き」と肯定的に捉えることが分かりました。
この実験から分かることは意識高い系のうざい社員を教育係にすると新人の理解を妨げたり、やる気を失わせてしまう可能性があるということです。
意見も信用してもらえないし反抗心を持たれる
難しい言葉を使用することのデメリットは相手の理解を妨げるだけではありません。発言者の意見を支持してもらい難くなるということも分かっています。
例えば政治のトピックなどについても難しい言葉ばかり使う専門家の意見は賛同を得難いです。人は理解するのに苦労すると脳に負担がかかり反抗する感情が芽生えることがあるからです。
これとは反対に理解しやすい言葉で説明されたときは納得感が支持へとつながりやすいのです。
つまり客先に何かを提案するときに意識高い系の言葉や専門用語を使うと反抗心を持たれて成約する可能性が下がってしまうのです。
意識高い系の社員は自分に自信がない
意識高い系の言葉や横文字ばかり使う社員を見てあなたは痛い人だなと思うかもしれませんが、本人はそれがカッコイイことだと思っているのです。
しかし心理学では難しい言葉を使いたがるのは実力がないというコンプレックスの裏返しとも言われています。
意識高い系が自己啓発書やビジネス書、セミナーなどにお金を使うのも不安の表れなのかもしれません。彼らは社会人大学やビジネススクールの良いカモにされています。
意識高い系の社員がいたら「うざい!」と一蹴せずに悩みや不安を聞いてあげることで解決できるかもしれません。
参考文献:Hillary C. Shulman, et al. (2020). The Effects of Jargon on Processing Fluency, Self-Perceptions, and Scientific Engagement.