LVMH会長のベルナール・アルノー氏が仕事でやらないこと

企業が様々な情報を発信するオウンドメディアを持つことは営業面でも採用面でもプラスになります。

人間は知っている人から買いたい心理を持っていますが、オウンドメディアに社長や社員が出ることでこの効果を得られるのです。

それだけでなく、社内の雰囲気が伝われば採用に応募してくる人数も増えますし、ミスマッチも防げます。

中小企業や個人事業主でもオウンドメディアで自社をどんどんアピールするべきです。

しかし、それがファッションやエステのようにブランドイメージが重要な業種、クリエイティビティが強く求められる業種である場合には考えなければなりません。

社長が出てくることがマイナスとなる可能性があるのです。

そしてマイナスになる社長ほどそのことに気がつかないのです。

ベルナール・アルノー会長は自分を宣伝しない

高級ブランドと聞いて何を思い浮かべるでしょうか?

多くの人がルイ・ヴィトンやディオール、ティファニー等をイメージすると思います。

知っている人もいるでしょうが、これらはすべてLVMHモエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトンという会社が持っているブランドです。

ではこの会社の会長の顔が思い浮かぶでしょうか?

頻繁に経済ニュースを見ている人でもなければ思い浮かばないと思います。

LVMHの会長兼CEOはベルナール・アルノー氏です。

数々のブランドを買収し会社を成長させた辣腕ぶりから「カシミアを着た狼」という二つ名を持つ人物です。イーロン・マスクを抜いて世界一の富豪にもなりました。

ベルナール・アルノーという名前を知っていても顔がすぐに浮かぶ人は少ないはずです。

なぜなら本人がブランドの顔になろうなどとはしていないからです。

「興味を持っているのはブランドを宣伝することであり、自分を宣伝することではない」と語っています。

その言葉通り、ルイ・ヴィトンでもロエヴェでも表舞台に出てくるのはモデルや著名デザイナーです。

デザイナーの創造性を尊重し、収益性については心配しなくて良いとまで言っています。

経営側の人間がクリエイティブに口出しすると碌な結果にならないということを知っているのです。

ブランドイメージを高めるには社長が出ないほうが良い

ベルナール・アルノー氏のスタンスも踏まえてオウンドメディアの戦略を考えてみましょう。

最近はオウンドメディアについての相談を受けることが増えたのですが、このとき議題となることの一つは誰が表に出るべきかということです。

YouTubeやTikTokであれば誰が動画に出演するのか?ウェブサイトやInstagramであれば誰の画像を載せるのかということです。

基本的には誰が出ても良いと思います。

面白い動画や何かを説明するための動画なら社長でも良いです。

しかし、ブランドイメージを高めるためのメディアを運営するなら人を選ぶべきです。

ファッションやエステといった業界の社長は目立ちたがり屋が多いので、こういったイメージ戦略のためのメディアにも出たがるのですが、元芸能人とかでない限りはやめたほうが良いでしょう。

ブランドイメージが悪くなります。

自分が客の立場になって考えれば理解できると思います。

アクの強い、一癖も二癖もありそうな社長がナルシスト風に出てくるメディアを運営している会社のサービスを利用したいと思うでしょうか?

「周りに止める人はいなかったのか?」と思うのがオチでしょう。

社員は気を遣って「ぜひ社長が」と言ってくれるかもしれません。しかしそれを真に受けてはいけないのです。

☑︎「社長のインタビューをしたい」という取材商法(詐欺)に注意

社長が表に出るべきかの簡単な判断基準

「でも私は美人(イケメン)よ」という社長もいるかもしれません。

そんな人に自分が出るべきかどうかを判断する簡単な方法を教えます。

それは自分が「出たい」と強く思うかどうかです。強く思うなら出ないほうが良いでしょう。

こういったメディアに良い女(良い男)風で出たいというのは承認欲求が強すぎるのに、それが満たされていないということです。

なぜ満たされないかというと普段周りからチヤホヤされる機会が少ないからです。

なぜチヤホヤされないかは考えれば分かると思います。

オウンドメディアに出るなと言っているのではありません。高級感やセンスの良さをアピールするために運営するときは出るなと言っているのです。

面白いキャラが立っているならそういった売り方で出れば良いです。

ちなみに社内にカリスマ性のある人間が一人もいないというなら、ブログなどの文字主体のメディアにするか、動画ではサービス内容を丁寧に説明するようなものにすれば良いです。

心理学的な視点でいえば人間が出るのが最も注目されやすいのですが、それがマイナスになるなら無理に出す必要はないのです。