業務時間外のメール対応をさせると社員のメンタルが壊れる

経営者のみなさん、自社の社員に業務時間外にメール対応をさせたりしていないでしょうか?

もし、しているなら直ちにやめたほうが良いです。

社員のメンタルにかなりのダメージを与えていることになります。

リーハイ大学のリウバ・ベルキンらが行った調査によると、就業時間後や休日などの業務時間外にメール対応しなければならない従業員は自宅にいるときでも強いストレスを感じていることが分かっています。

そしてそれが燃え尽き症候群やワークライフバランスの低下につながっているのです。

それに、その時間の給料を払っていなければ労働基準法違反ですしね…。

仕事から切り離された時間がないと回復できない

仕事の疲労から回復するためには肉体的にも精神的にも職場と切り離された時間を持つことが重要です。

これはいくつもの研究で判明しています。

仮に自宅で何もせずに過ごしていたとしても「仕事のメールが来るかもしれない」と思っていると回復できないのです。

いつでもメールに対応しなければならないという心理的負担は職場にいないときでも仕事をしているのと同じことなのです。

これはメールの対応に費やす時間に関係ありません。

たった数分で完了できるメールだから負担ではないだろう、ということではないのです。

それをしなければならないということ自体がストレスになり休息することが出来なくなるのです。

そして本来の仕事のパフォーマンスも低下させてしまいます。

☑︎地方の中小企業の人手不足への対策。人数ではなく「礼」で考えて解消する

つながらない権利を尊重しなければならない

起業家のみなさんは24時間365日いつでも仕事のことを考えていますし、それが生きがいになっているかもしれません。だから社員もせめて自分の半分くらいはそういう意識を持っていると期待するでしょう。

業務時間外とはいえ数分のメール対応くらいは何の負担も感じず、むしろやりがいをもってやっているとさえ思うかもしれません。

しかし、ベンチャーの創業メンバーでもない限りはそこまで高いエンゲージメントを持っていることはほぼないので勘違いしてはいけません。

そもそも社員に業務時間外のメール対応をさせている場合に、時間外手当を払っているでしょうか?

たかだか数分だし、社員が自発的にやっていることなのだから支払う必要はないと考えているなら非常に危険です。

仕事をさせているのですから法律上も業務時間扱いです。

仮にメール返信をしなかったとしても、「いつでも返信できるようにしておけ」というのも指揮命令下にある状態のため本来であれば給料が発生します。

そもそも業務時間外まで一般の社員にメール対応させなければ会社が回らないというのであれば、経営自体が上手くいっていないということです。

これは100%経営の責任であり、それを社員に押し付けるような状態になっているなら早急に改善が求められます。

ちなみに日本では休日に社員にメールを送るだけなら法律違反にはなりませんが、国によっては送ること自体を法律で禁止しているところもあります。(ポルトガルは法律で禁止されており、フランスやドイツもそうなる可能性があります)

いわゆる「つながらない権利」というものを保護しているのです。

メール禁止デーから始める

業務時間外にメール対応をさせることのデメリットは従業員が疲弊するだけではありません。

会社に対するコミットメントが低下することも分かっています。それがやがて離職やモラルハザードへとつながります。

こういった事態を避けるためにも業務時間外のメール対応は止めるべきなのです。

急にできない場合は週に一度でも「業務時間外の対応禁止デー」を作ると良いです。それだけでも従業員のメンタルヘルスを改善できます。

いつでもメールで対応できることで顧客の満足度を高めれば効率的と思うかもしれません。しかし長期的な視点で見るとマイナスなのです。

そもそも業務時間外にまで対応を求めるような顧客は手間ばかりかかって利益にはならないことのほうが多いのですから、少しずつ関係をフェイドアウトした方が良いです。客を選ぶのも大切な経営判断です。

参考文献:Liuba Belkin, et al. (2016). Exhausted, but Unable to Disconnect: After-Hours Email, Work-Family Balance and Identification.